システム導入の効果を最大化するために
寮管理システムは、導入すればすべてが解決するという魔法の杖ではありません。導入することでどのようなケースでも即時に効果が出るものもありますが、システム導入を最大限に活用するためには、導入と並行しての業務見直しを行うことをおすすめしています。システムの潜在能力を100とすると、業務見直しとあわせて行うことで、その能力をあますことなく発揮することができるのはもちろん、場合によっては200も300もの効果を引き出すことも可能です。
このページでは、どういった業務見直しが行えるのか、また、どういった自動化が可能かについて概説しています。業務見直しの可能性についての参考資料としてお役立てください。
業務見直しのポイント
システム導入を機に、業務見直しを行うことにはメリットが多くあります。今までのやり方を変えることに大きなエネルギーは必要ですが、その価値は必ずあります。以下ではどのような見直しが可能か、いくつかのポイントで概説しています。
ペーパーレス化の推進
まず、システム化により実現が容易なものとして、ペーパーレス化の推進があります。従来、紙だったものを画面での確認や、PDFでの出力に差し替えるだけでも、大きな効果を見込むことができます。紙でやりとりしていたがゆえに、物理的な移動を伴っていたとしたら、印刷代の削減のみならず、そうした運送費についても削減効果があるでしょう。利用する側にとっても、すぐに手に入ったり、最初から保管しやすいデジタルデータとして手に入ったりといったメリットが見込めます。
業務プロセス、稟議承認の簡略化
システム化を機に、可能であれば稟議プロセスも簡略化することをおすすめしています。慣習的に続いていているだけで今となっては形骸化している稟議プロセスであれば廃止すべきですし、廃止できない場合には、システム上での確認に変更してスピードアップをはかるなどの代替案も良いでしょう。承認を行った人の記録を行うことで印鑑をおすという行為を廃止できる可能性もあります。一昔前では大きな反対にあった改革も、DX(デジタルトランスフォーメーション)が声高に叫ばれる昨今であれば、承認される場合もありますので、できる限り根本的なところにもメスをいれるのをお勧めします。
コミュニケーションのオンライン化
従来はメールや、ファイル添付で行なっていたコミュニケーションがあったとしたら、そういったコミュニケーションをシステム上で行うように変更することで、情報の一元管理が進みます。情報が一箇所で整理されることで、情報を探すのに必要な時間コストも、それを保管するために頭を悩ませる精神的なコストも大きく低減することができます。今までが紙で出力して管理していた場合には、そうした情報管理のスペース的な節約も無視できない効果が期待できます。
利害関係者へのシステム開放
寮管理においては、寮長や管理会社など、外部の利害関係者が関与する場合が多くあると思います。こうした人たちとのやり取りがメールやFAXのままでは、業務効率は高まりきりません。こうした利害関係者にもシステムを開放し、適切な権限管理を行なった上で利用できるようにすることで、情報管理が精緻化され、業務フローが今以上にスムーズに流れることが期待できます。同じ情報を参照しながらコミュニケーションできるため、参照していたファイルが古いものだった、といったトラブルも無くすことができます。
自動化可能なポイント
寮管理において、定型的、定例的な作業はいくつもあると思います。そうした作業をいかに自動化できるかどうかが、業務効率の向上の度合いを左右します。以下では代表的な例をあげて、自動化のポイントを概説しています。
督促や結果通知等の定例的なメール送信
寮管理を行う上で、様々なコミュニケーションを入寮者と行うと思います。申し込みを受け付けるような場合ではその内容確認のメールを送ったり、申し込みの結果を送ったりするでしょうし、入寮日や退寮日の申告を受ける場合には、それに伴うやりとりも発生したりするでしょう。また、入金確認を行なっている場合には、入金に不手際があった場合の連絡や、そもそもの入金がない場合の督促メールを送ることもあると思います。
こうした定例的な、または、定型的なメールについては、システムに委ねることで自動化することが可能です。システム内に保持している情報であれば、メール文面内に入れ込むことも、送信対象の条件に使うことも可能なため、かなり細かい制御を行うことができるのも特徴です。何より人為的な送信ミスがないので、情報漏洩対策としても有効な方策になります。大量のメールアドレスが誤ってCC欄に掲載されることもありません。
請求金額の計算
寮管理の上で、請求作業もあわせて自部署内で行なっている場合、その請求額の計算や、請求書の作成は非常に手間のかかる作業だと思います。こうした金額計算も、ルール化ができるのであればシステムで自動化することが可能です。学期ごとの請求であったり、部屋タイプごとに賃料が違ったり、日割りでの計算が必要だったりと、ルール化できる限りシステム化は可能です。また、どうしてもルール化できない特殊ケースがある場合には、すべてのケースをシステム計算によりカバーはできなくとも、イレギュラーケース以外の金額計算だけ部分的に委ねるという対応も可能です。
PDFの生成、送信
請求書にしても、何かしらの通知書にしても、利用者に配布する形態としてPDFは非常に便利です。一方で、手動で生成するのは非常に手間がかかるものであり、大量に処理しなければいけないのに、一件一件処理していては残業時間がいくらあっても足りません。かといってWordファイルをそのまま送るのは参照性の問題や、書面としての役割を考えると微妙と言わざるをえません。
こうしたPDFデータの生成や配布、送信はシステムに委ねてしまうことをお勧めします。PDFのレイアウトは自由にデザインすることができますし、そこに差し込むデータもシステム内にあるデータであれば自由自在です。PDFレイアウトの更新も可能ですので、長期的に運用しながら変更していく必要がある書面についても柔軟に対応することができます。
まずは業務の洗い出しから
以上、様々なケースで説明しましたが、これらはあくまで一般的なケースです。これよりも複雑なケースも単純なケースもあると思います。システムの可能性を最大限に解き放つためにも、まずは業務の洗い出しを行なってみてください。自部署内での議論では限界が見えた際には、私たちにお気軽にご相談ください。ヒアリングのかたちで外部のフレッシュな視点や、システムの専門家としての視座をご提供できればと思います。